というような困り事を持っている方向けの記事となっております。その前にそもそも”生”ドラムってなんなの?と思われる方へ、生ドラムとはバンドの後ろ側で叩いているドラムをイメージしていただければ大丈夫です。恐らく、TR-808などのシーケンサーとの差別化の意味で”生”という表現が使われているのだと思います。
各パーツの名称とその音色
説明をするのにも名称が分かっていると理解が早まると思いますので簡単に各パーツの名称を先に説明させていただきます。また各パーツの音が分かると曲を聴いているだけで”あぁこう叩いているのか”ということが分かってくるので、音がわからない場合も読んでいきましょう。知っている方は飛ばしてしまって良い項目です。
①バスドラム:いわゆる”キック(kick)”と呼ばれる部分で実際に演奏する際は右足でペダルを踏んで音を出します。演奏する人によっては数を増やす、または左足でもペダルを踏めるようにして”ドコドコ”鳴らして演奏する人も多いですよね(主にメタルやX Japanをイメージしていただけると)
②スネアドラム:いわゆる”スネア(スネア)”と呼ばれる部分でキックと並んで重要な太鼓です。楽曲中でも太鼓の中ではキックを除いて一番叩く太鼓であり、音楽のジャンルによってスネアの音色の傾向があったりもします。他の太鼓と違う点として打面の裏に”スナッピー”という金属のちぢれ麺みたいなものが付いていて、打面を叩くとそれらが震えて他にはない音を作り出しています。
③ハイハット:”チッチッ”とリズムを刻むシンバルです。ハイハットのスタンドの下にはペダルが付いていて左足を上げたり降ろしたりすることでハットの開け閉めをします。開けている状態をオープンハイハット、閉めている状態をクローズハイハット、半分開けているのをハーフオープンと呼んでいます。また叩かずにペダルで開閉することによって鳴らすこともあります。
④クラッシュシンバル:小節の最初に”シャーン”って鳴らすシンバルです。基本的にはシンバルの縁を叩いて”シャーン”と鳴らすので刺激的な音がなります。
⑤タム:バスドラムの上にあるものが右から順にハイタム(、ミッドタム)、ロータムでバスドラムの横にあるのがフロアタムです。音の高さはハイ、ミッド、ロー、フロアという順番です。
⑥ライドシンバル:画像にはないですがクラッシュシンバルより大きいシンバルで、こちらが叩くのは縁ではなく上面となり”キン”みたいな音がなります。ハイハットの代わりに叩かれることが多いです。
⑦スプラッシュ:画像にはないですがクラッシュシンバルより随分小さいシンバルで、叩くと”シャンッ”という音がなります。クラッシュだと派手すぎるな、という時に使用されるイメージです。
各名称については以上になります。それでは動画でそれぞれの音を確認してみましょう。
ドラムパターン構成の基本的な考え方
ドラムの各パーツの名称を覚えたところで、ドラムパターン構成の基本的な考え方を説明していきます。まずドラムの中の役割としては以下の4つに分類することができます。
- キック
- スネア
- ハイハット(またはライドシンバル、フロアタム)
- その他
イメージとしてはキックとスネアでリズムを作り、ハイハットで繋いでいく、その他は必要な時に登場すれば大丈夫ということです。そのためドラムを作り始めるのはキックとスネアを置くところから始めるのが簡単だと言えます。それではキックとスネアはどうやって置いていけば良いでしょうか。下のピアノの例から考えてみましょう。
4分音符をメインとしたシンプルな伴奏になっています。この伴奏にドラムを加えるとしたらどんなパターンがいいでしょうか。試しに4分音符をメインとした4ビートを重ねてみます(下図はAddictive Drumsの打ち込み例です)
ふむふむ、といった感じですね。次は8分音符をメインとした8ビートを重ねてみましょう。
まぁアリっていう感じですが、どちらかというと8分のメロディを期待するような雰囲気が出ているような気もしてきましたね。それではピアノを下図のような8分を絡めたものに変更して聴いてみましょう。
これはしっくり来ている気がしますね。曲中で一つ前のパターンからこのパターンに変わるというのもなかなか良いような気がします。それとは別で4分のパターンも良かったと思っています。
ここまできて何となく見えてくるのはキックとスネアの置き場所は他の楽器に依存するということです。他の楽器が4分音符がメインなら4ビートが収まりがよく、8分音符がメインなら8ビートが収まりが良くなる場合が多い、ということです(先述に例をあげたように後の展開を予感させるために4分音符と8ビートを重ねるということもいい使い方ですね)
そのため恐らくここを読んでくださっている方はドラムより他の楽器の方がよく知っている方が多いと思いますので、他の楽器で作曲してからその伴奏に合わせるようにドラムを作ると作りやすくなるということです。
覚えるべきリズム
それでは基本的なリズムを確認してみましょう。まずは下の3つに分類を確認してみましょう。
- 4ビート
- 8ビート
- 16ビート
どれも聞いたことがあるのではないでしょうか。それぞれどのようなリズムのことなのかを基本的なことを確認してみましょう。
4ビート
- キック:1拍、3拍目
- スネア:2拍、4拍目
- ハイハット:各拍
- 使い所:スウィングしている楽曲と相性がいい。曲が速すぎで8分じゃ難しい場合。
前節で挙げた音源を再掲しますので確認してみましょう。
これだけ聴くとあまり魅力がないように思いますが、使い所に書いてあるスウィングと非常に相性がいいです(ここでのスウィングは便宜上3連の中抜きとします)それではスウィングさせたタイミングにキックを入れて聴いてみましょう。
どうでしょうか?控え目に言って随分と魅力的なリズムに変わったのではないでしょうか。このように4ビートはハネている楽曲に相性が良い、というのは覚えていて損はないです。
8ビート
- キック:2拍、4拍以外(スネア以外)
- スネア:2拍、4拍目
- ハイハット:8分
- 使い所:基本はこれを選びしっくりしなかったら別のパターンを選ぶ。
前節で挙げた音源を再掲しますので確認してみましょう。
聴き馴染みもあるパターンかと思います。キックの自由度が高いので初めは迷うかも知れませんが、迷った場合はベースに合わせるのが一番無難です。それ以外は上の音源のようなリズムで大体は大丈夫です。
16ビート
- キック:2拍、4拍以外(スネア以外)
- スネア:2拍、4拍目
- ハイハット:16分(スネア以外)
- 使い所:伴奏が白玉の場合か、ギターのカッティングなどの16分の伴奏がある場合。
こちらもどんなリズムか確認してみましょう。
急におしゃれ感が出てきましたね。ジャンルで言えばシティポップなどでよく使われるパターンです。シティポップで使われるというのもシティポップはギターのカッティングが16分で入っていることが多く、ベースも16分の複雑なリズムと間で作られていることが多いことに起因していると考えられます。そのためキックも少しリズミカルにしてみましたが、伴奏と合っていれば大丈夫です。
ドラムをリアルに近づけるテクニック
ここでドラムをリアルに近づけるテクニックについて言及していきます。こういう時は”どういう時に機械的に聴こえるか”というのを考えると良かったりもします。今回は”同じ音が連続する”ということを考えていきます。同じ音が連続すると機械的になってしまうので、そうならないように変化を加えれば良いということになります。今回は曲中に一番叩かれる回数が多いハイハットを例として、以下の3つをアプローチとして確認していきましょう。
- 音色
- 強弱(ベロシティ)
- タイミング
改善前のドラムはこちら。何の変哲のない8ビートのハイハットを抜き出した音源になります。
まずは音色についてです。ハイハットで音色の差を出すのは少し難しいのですが今回はオープンハイハットを使っていきましょう。アクセントのタイミングに入れるのがベストですが、今回はよく使われるタイミングに入れてみました。
これだけでも少しリアルな雰囲気が出たのではないでしょうか。次にベロシティを変更させていきましょう。今回は表拍を弱く、裏拍を強くして、オープンの部分に向けて強くなるようにしてみました。それでは聴いて確認してみましょう(変更前と後で交互に聴けるようにしています)
最後にタイミングです。これらはよく”ヒューマナイズ”という機能を使って変更する微量なレベルでのタイミングをずらす方法です。味付け程度なのですが意外に音が変わったりするので気をつけて使っていきましょう。
変化がわかりづらかったかも知れませんが、お守りみたいなものなので必要な時は入れていきましょう。ちなみに今回はハイハットについて変化をつけていきましたが”同じ音が連続する”場合に機械的になってしまうので、スネアの連打であっても上記変化を加えていけばリアルに近づいていきます。一つ例を作成してきましたので確認してみましょう。
前半と後半で全然印象が違うと思います。今回でいえば後半の方がリアルに叩いている感じを感じることができるのではないでしょうか。細かい作業ではありますが、少しの手間でクオリティがグンと上がることなので積極的に調整していきましょう。
使える例外パターン
今まで紹介したものは基本のパターンでしたが、よく使われる別のパターンを見ていきましょう。今回紹介するのは“裏打ち”と“フロアタムを使ったパターン”、“一気に盛り上げるパターン”です。どれも使えるパターンなのでここで覚えて使えるようにしてしまいましょう。
裏打ち
一時期すごく流行っていたパターンでとても使い勝手が良いパターンです。ポイントは裏拍でオープンしたハイハットを表拍で閉じて音を切るという所。そうすることによってリズムのキレが良くなります。スピード感が出やすく盛り上がるので、サビやイントロなどでの採用が多いです。
フロアタムを使う
何かが始まることを予見させるようなパターンです。ハイハットで刻んでいた部分をフロアタムに変えるパターンでイントロやBメロなどの繋ぎで使われることが多いです。特徴としては16分のタイミングでタムやキックを入れでドコドコ鳴らすとスピード感を落とさずにリズムキープする所です。このパターンの場合は他の楽器は8分で刻んでいても違和感がないですが、ギターでブリッジミュートを効かせているような音色が多い気がします。
一気に盛り上げる
勢いを感じられると思うので、まずは聴いてみてください。イントロやサビ前などの勢いを付けたい時によく使われるパターンになります。注目するのは”タンドンドン”というリズムから”タンドン”になる前半部分です。勢いを付けたい時によく用いられるのですが、アクセント(この場合”タン”)を入れる感覚を段々狭くすることによって勢いを付けています。
また細かい所ですがクラッシュシンバルは同じところを使うのではなく、別々のクラッシュシンバルを交互に使うことによって音の楽しみが増えるので交互に使うようにしましょう。
さいごに
なかなかボリュームのある内容でしたがドラムの打ち込みについて何か得るものはありましたでしょうか。ドラムは経験するまでのハードルが高いためよく知らない人が多いかと思います。しかし打ち込みにおいて覚えることはあまり多くなくクオリティが上げられる楽器だと思いますので参考にしていただければ幸いです。
本記事は以上となります。他にも作曲に関係する記事を書いておりますので見ていって下されば嬉しいです。
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